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Emeat若牛 × 大晦日

 




 



Emeat若牛の最初の牛さんは、『大晦日』ちゃんになりました。
2013/12/30生♂  血統:勝忠平×第1花国×安平



名前の通り、大晦日に生まれた『大晦日』ちゃん!
私の住む群馬は1年で最も昼夜の寒暖差が大きくなるのが大晦日なんです。寒暖差は牛さんに容赦なくダメージを与えます。しかも私の牧場はなぜか毎年、大晦日に分娩が始まる牛さんが必ずいて、紅白を見る事も蕎麦を食べる事もなくバタバタを新年を迎えるのが恒例になってます(笑)大晦日ちゃんも寒い風が吹き付ける中、難産で生まれ体力を消耗し、弱っていました。牛飼いの農家にとって正月は怖いんです。だって、獣医さんや薬屋さん餌屋さんがみんな休みに入ってますから。




そんな時、松本大策先生に大晦日にすみません!と藁をも掴む思いで連絡したら、すごく丁寧な対応で、大晦日に深夜近くまで電話越しに的確な指示を定期的に下さったのです。大晦日ちゃんは生死の境からみるみる回復し、生まれてすぐに処置や予防を何度もしたので、人間に慣れ、牧場で一番人間が大好きな牛さんになりました。





 

 


そんな大晦日ちゃんは偶然にも最初の若牛の群に選ばれ、命の恩人の松本大策先生に再会し、このようなじゃれ合いっぷりです(笑)



実は最初に若牛として出荷する予定の牛さんは『大晦日』ちゃんでは無かったのです。同じ群で『大晦日』よりも1ヶ月早く生まれた「まゆこのこのこ」が当初は最初の若牛になる予定でした。なぜ『大晦日』ちゃんになったのかと言いますと、これは若牛を開発するという産みの苦しみに関係してきます。



それは出荷のタイミングをいつにすれば、若牛としての能力を十分に発揮できるのか、そのデータが全くありません。最初に若牛に取り組んだ「能勢黒若牛」は全てメスの牛さんで我が家は去勢した男の子で成長のスピードなど違ってきます。若牛の出荷予定の19〜22ヶ月齢は牛さんの形が日に日にみるみる変わっていくような時期で、そのタイミングによっては重量だけの問題ではなくそれは肉質にも関係してくることなのです。データではなく牛さんを診て判断していくのですが、若牛というこれまで経験したことの無い牛さんを目の前にすると、私たちの目も慣れていません。



それらは開発といえど、餌代も天井知らずな今とても苦しい中で、すべて自己責任の商品として考えなければなりません。リスク回避を考えるなら、出荷のタイミングを遅らせた方がいいのですが、それでは開発のデータが取れないんです。開発する上で19ヶ月齢の若牛としてのデータも残したい。でも怖い。本当に不安で怖くて悩みました。









『大晦日』ちゃんはどこにもない初の取り組みという事もあり、餌屋さんや関係者が毎月必ず定期的に見に来たり、牧場を訪れたシェフも必ず見ていきました。さらに『大晦日』ちゃんは信じられないくらい人が好きですので、牧場の歴史の中で一番いろんな人に触られた牛さんとなりました。4歳の息子も『大晦日』ちゃんが大好きで、まるで自分が触れる牛さんとして自慢するかのように東京から来た姪っ子を連れていったりしてました(笑)



『大晦日』ちゃんなら19ヶ月齢で出しても大丈夫、『大晦日』だったら私は信じる!Emeat若牛の最初の牛さんは『大晦日』ちゃんになって欲しい!群の中で、生まれが1ヶ月先のボスがいてもこの時点で一番発育の良いのが大晦日ちゃんという事もあり、リスクの高い19ヶ月齢出荷の最初の牛さんを『大晦日』に決めました。この日記の最初に載せた若牛のロゴイラストも、『大晦日』がモデルです。






 

 


『大晦日』ちゃん達は期待に応えてスクスクと大きく育ってくれました。手前が若牛の『大晦日』ちゃん達で、向こうの3頭が理想肥育の1ヶ月先に生まれた子達。








 

 

 

Emeat若牛 『大晦日』 19ヶ月齢
2013/12/30生♂  血統:勝忠平×第1花国×安平


そして先月、お肉になりました。
枝肉重量369kg、目標にしていた450kgまでは届かなかったものの、肉質も良く、予想以上の造りの良さでした。そしてその結果は今後の若牛の開発を進めていく上でとても有益な情報になり、後に続く我が家の若牛候補達に道を示してくれました。










そして、加工や検査や成形を(株)フレッシュミート佐久平さんにお願いし、いよいよ我が家に『大晦日』ちゃんが戻ってきました。


まず我が家に戻ってきた部位は一番高いヒレです。最高級部位だけあって美味しいのは当然だからあまり試食としては使用しないのですが、今回は目的が違うので、あえてこの部位にしました。それは何度も書いて来ましたが、私達牛飼いは牛さんを育てるだけで、流通の複雑さもあって、自分達でお肉の販売までしないと自分の育てた牛さんを自分達で自由に食べる機会が本当に少ないんです。

 

 

 

「若牛」は全く新しい取り組みで、まだ認知されていないので、通常の流通方法だと価値が認められないから自分達で販売するまでを必然的に求められるのです。農家が販売の事を考えるのはすごく大変な事ですが、この機会にやっと実現した育てた牛さんのお肉を育てた私達が自由に食べれるという、そんな当然の事を楽しみたかったのです。だってこの化粧品良いんだよって肌がツヤツヤしてる人が売ってたら私は欲しくなっちゃいますから。私達が育てた牛さんのお肉をまずは誰よりも私達が存分に楽しみたい!




 

 


言うまでもなく本当に本当に美味しかったです。
これまでの不安もあり、最初の一口を食べた時の感動は今でも忘れられません!





 

 

 

4歳になった食の細い息子も、お肉を信じられないくらい食べました。最近、お肉を食べると「このお肉ってどこの子?」と聞いてくるのですが、私達は毎回「◯◯県の牛さん」とか「◯◯の豚さん」とか答えていました。そして、この日もその質問が飛んできました「このお肉ってどこの子?」



正直、すんごく迷いました。毎回出荷のトラックに立ち会い、トラックに乗る牛さんを「がんばれ〜!」とまだ意味も分かってない様子で応援してくれる牛飼いの息子。もし、私がこれから言う言葉でショックを受け、吐き出し、お肉が食べれなくなったらどうしよう?

 

 

 

「ねーえ!このお肉ってどこの子?だってば!」私は答えました。





「このお肉は、みそかちゃんだよ!」




「え!あのみそかちゃん!?」

(大晦日の愛称は「みそかちゃん」でした)




すると真剣な顔になり、お肉をしっかり噛みしめるような食べ方に変わりました。そして「みそかちゃん美味しいねー!」と言ってバクバク食べだしたのでした。そして翌日、「今日もみそかちゃんあるー?」と聞いてきました。それからというもの、息子はお肉を出す度に「このお肉ってどこの子?」ではなく、「このお肉ってだれ?」と聞いてくるようになり、やたらとお肉を食べたがります。私達のやってきた事は間違いじゃなかった!そう思えて本当に泣くほど嬉しかったです。









そして『大晦日』ちゃんは、最初のEmeat若牛として出発したのでした。





 
              詳しいお話はまた次回に☆













 

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