<< October 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 草津温泉の母さん頂きました! | main | いろんな人で酢飯屋ちゃんに一頭入魂! >>

食肉学校のセミナーに行ってきました。



 

 

 

先日、大盛況で終わった大型イベント『酢飯屋ちゃんをいろんなシェフで一頭入魂』は牛さんを1頭買いして下さった酢飯屋の岡田さんを始め、これまでや現在進行形でエミートを扱って下さるシェフや賛同して下さったシェフなど総勢7人のシェフと2人のソムリエ、映像を担当して下さったユミタスや遠藤カメラマン、酢飯屋ちゃんのファンで運営を手伝って下さった方々、最高の会場を提供して下さったWACCAさんなど、素晴らしい人々が1頭の牛さん《酢飯屋ちゃん》の為に集まって頂きました。




エミートが夢にまでみた最高のイベントで、1つの集大成と位置づけて準備してきました。1つの集大成なら、もちろん次の1歩を踏み出す準備という事で、イベントの前日まで群馬県の全国食肉学校の「牛部分加工技術者研修」に4日間みっちり参加していました。




エミートが現在取り組んでいます『 若牛 -わかうし- 』を進めるうえで、これはどんな新開発の商品でもそうでしょうが、どこにもない新しいコンセプトのものは現行の流通の仕組みに乗せるのではきちんとした評価がされないので、それがリスクがあっても自分で販売していく事が最初は求められてきます。開発ってそういう事ですよね。

 

 

 

国も6次化事業を進め、生産者が販売までやるような仕組みをずっと進めています。ですが、実際はそんなに甘い問題じゃありませんよね。よし、では牛さんを育てながら肉を加工して販売いこう!と思っていてもお肉の世界は全く分からなかったのでした。




そんな時、酢飯屋ちゃんでお世話になった(株)フレッシュミート佐久平さんに出会い、工場を見学させて頂き、お肉を捌く職人の姿や姿勢を見せて頂き、とても感銘を受けました。牛を育てる事は出来ても、本当に自分はお肉に対して何も知らないんだなと思いました。そして「伝える」という事を担う端にいる生産者と販売者はちゃんと中の加工の事ももっと勉強し、伝えていかなけばと思ったのでした。




今回の記事は、その全国食肉学校に行ってきたという話です。すでに前置きが長いですが、この日記はとっても長くなると思います。また、牛さんの加工の写真もたくさん出てきますので苦手な方は注意して下さい。エミートはこれまで加工の現場の写真をサイトや冊子などに載せずにきました。食育という面では必要かもしれませんが、私達の本望は牛さんを楽しんで飼ったのだから楽しんで食べて欲しい、トラックに乗せた後だってまだまだ魅力を伝えて育てられる!という所にあるので、ただでさえ名前を付けて飼ってるので生々しい写真は避けてきました。でも今回、加工の現場に触れ、牛さんの歴史に触れ、これは伝えたいと思ったので書きました。エミートの関係者だけでも見て欲しいな。ダラダラとめっちゃ長いけど。







 

 

 

そんなこんなで、お肉に対して「学びたい!」という欲がすごく強くなった時に地元の群馬に全国で唯一の食肉学校があるという事を知りました。他県の関係者の人に聞くと、地元にあって羨ましい!なんで利用しないのか?と言われました。しかし、学校は1年コース、半年コース、3ヶ月コースとあり、すべて完全寮制度。免疫や団結などは分かりますが、正直これだと現場の牛飼いが回らなくなります。そもそも、そんな生半可な感じでは加工技術なんて職人技を覚えられる訳がないのですが、正直言って、どのくらい生半可なのかすら分かってない状況なのです。







 

 

 

そこで、今年から新しいセミナーが始まるという情報を入手しました。それは定員6名の少人数で学生の授業に混ぜてもらい、4日間みっちり牛肉加工の技術や知識の基礎を学べるという願ってもないセミナーでした!昨年からずっとチェックしていたので、見つけた時は6名の狭き門に急いで応募しました。








全くの素人の農家が行って付いていけるんだろうかと心配でしたが、集まった6名もそれぞれ基礎というか、どんな世界なのかも分からないから来たというような方で、実家の肉屋を継ぐために学校に入っている学生さん達も19歳とかとは思えない落ち着きと礼儀の良さで、みんな分からないから真剣に学びに来てるんだなとホッと安心しましたが、この世界は職人気質ですので、教えてるつもりでも素人の私達は何を言ってるかすら分からないまま作業だけをひたすら見てるだけの4日間だったらどうしよう?と心配していました。






 

 

 

じゃあ、石坂さんは4番でね!



???








 

 

「これから皆さんには研修期間中に先ほどお伝えした番号の付いてある枝肉の半身を責任持って大分割から脱骨、小割して精肉加工までして頂きます」

 

 

 

まじか・・・やった!




どんなに本や写真で見てもどの部位がどうなってこうなるかが全く想像できなかったので、1頭を最後まで流れを教えてくれる機会は本当に理想的なセミナーでした。



「今回の牛さんはホルスタインの経産牛です。研修生に扱ってもらうのには価格という事もありますが、脂が少ないので捌きやすいからです。」
 

 


「その前に言っておきたい事があります、経産牛は硬いとか安いとか婆牛とか言う方がいますが、絶対に婆牛なんて言わないで下さい。この牛さんはミルクを出すという役目を全うし、こんなに細い体になるまで命を削ってミルクを出してくれて、その役目を終えて、さらにお肉になろうとしてる牛さんが経産牛なんですから、すごいんです」




まだナイフすら握っていませんが、この先生の言葉を聞いて、この学校に来て良かったと心から思いました。前回の日記でも書いたEmeatお母さん牛、まさにそうなんです!それと同時に怖さが全身に伝わりました。素人が扱っていいのか、お肉に傷つけたら申し訳ないと。










 

 

と畜日は偶然にも恵美の誕生日か、よろしくお願いします!学ばせて頂きます!枝肉もまじまじと見ると、とっても綺麗だな。













もちろん知識もないと捌けません。部位名も地域によって違うので、共通語として筋肉や骨の名前も覚えなければなりません。もちろん努力と経験が必要な事ですので、この期間中には無理なのは先生も分かっていて、さすが食肉学校の先生だと思ったのはまず、なぜこれを学ぶのか?を丁寧に教えてくれ、その教えの先には必ず牛さんの魅力に繋がるような道筋が待っていた事に毎回感動を覚えました。




例えば解剖学の授業でも、筋肉は横紋筋と平滑筋に分類されるんですが、判りやすく言うと自分の意思で動かせる筋肉と心臓のように意識しないで動いてる筋肉です。牛さんのお肉ってどっちですか?自分で動かせる方の筋肉がお肉という事は、それって牛さんの生き様だと思いませんか?運動の程度や飼い方が反映され、牛さんの個性が反映される部分が牛肉となるんです。牛っていう歴史と共に人が作り上げてきたのが牛肉です。今回、加工現場で皆さんがおそらく強く感じる事は「人力なんだ」という事だと思います。結局お肉は手作業で、人で変わります。










 

 

レクチャーを受け、いよいよ枝肉を大分割していきます。








 

 

 

かた、ともばら、ロース、もも、と大きく大分割する時にほんのちょっとノコギリを使用しますが、海外とは違い後は全てナイフ一本でこんなに大きなお肉から骨を抜き、筋肉ごとに分けていきます。ノコギリを使うほど残骨のリスクも増えるし、お肉を傷つけてしまうので。安直ですが、さすが侍の国だと思いました。









 

 

 

そして脱骨作業です。
こんなに多面的な骨をナイフの角度や強さやスピードやひねりを決まった順番で入れていき、お肉を傷つける事なく、そして骨にお肉が残らないように取り出していきます。さらには、そこの脂は取らないでそっちの部位に付けておかないとお肉がむき出しになって鮮度が落ちるからここはこう分けた方が良いとか、とっても奥が深いです。長いお肉の歴史に触れたような瞬間でした。そして泣きそうになりました。辛くて。握りなれない包丁の持ち方、重いお肉を指先で開き隙間を作りそこにナイフを忍ばせる作業、上半身はプルプルと震えだすが、お肉を傷つけちゃいかんとナイフは進まない、時間がかかれば鮮度は落ちる、丁寧にやらないと骨にお肉が残る。骨に残ったお肉は部位の価値のお肉ではなく、全体の端材として価値が下がる。未熟さがどっちに進んでも価値を下げるような気がして進めなく、進めなくても価値を下げる。



さすが唯一の生産者さんは重みが染み込んでるから作業が丁寧ですね!と慰められながら、なんとか授業に付いていきました。







 

 

 

すごい世界だなと思い知らされました。握力が無くなって何度も物を落としました。そして個体差の多い牛さんは1頭1頭やっぱりそれぞれハッキリ違うんです。牛を飼う人も基本的には群単位で、ブランドは地域単位で、扱う方はロット単位になると思うんのですが、エミートは小さい規模なんだから1頭単位で伝えていく牧場があってもいいんじゃないといろいろとやっていますが、実はこの牛さんを捌いてる現場の方達は枠組なんか関係なく、長い歴史の中でずっと1頭1頭に人が向き合ってるんだと体感する事が出来ました。日本の牛肉ってやっぱり凄い!と改めて思ったのと、もっと伝わっていい事だと感じました。











 

 

 

自分で捌き、元の形に戻してみる。
これまで形はおろか部位の名前すら覚えられなかった事が、実際に行う事でスッと頭に入ってきます。初めてなので下手くそですが、パズルのように組み合わさってる筋肉をみると、とっても綺麗です。スジや脂もとっても綺麗。









 

 

 

自分の腕を想像しても1つの筋肉ではなく、たくさんの筋肉が集まっています。それぞれの役割があって、それぞれの筋肉が出来上がります。









 

 

 

そして、それぞれの筋肉ごとに分けていく時、ナイフを使うといっても「切る」ためにはほとんど使わないんです。お肉を切る時点でそれは間違った捌き方なんです。傷つけてるだけですから。骨の流れや筋にそって筋肉を剥くような感じで分けていくんです。だからナイフというより左手のお肉を広げていく方が重要だったりします。


日本の大雑把な部位の規格だけでも13部位、そこから小割にすると40パーツ位なるんじゃないでしょうか? 一方、アメリカのお肉の部位の考え方は、ロースとその他の2種類、ステーキになる部分かミンチでハンバーグになる部分です。日本はなぜこんな手間をかけて小割にしていくのでしょうか?









 

 

 

それは、13部位とおおざっぱに分けても、そこにはさらにいろんな役割の筋肉があり、「うで」であってもこんなに赤身だったり霜降りだったりするからです。ステーキになる部位はロースだけでなく、いろんな所にもあり、季節や地域の需要で焼肉用になったり、すき焼き用になったり、ステーキ用になったり、煮込み用になったりと、お肉の持つ能力を余す事なく最大限に引き出してくれるお肉の加工技術がこの日本にはあるのでした。日本のお肉の歴史って本当に素晴らしいですよね!




今、和牛の海外輸出が進んでいて、日本が各ブランドごとにアピールしてしまってチームJAPANになりきれず上手く伝わっていないなどの問題も聞きますが、この職人技術もセットでないと和牛の味は伝わっても、文化が伝わらない気がします。












 

 

そして精肉加工や盛り付けでも、魅力ががらりと変わる事を学びました。同じ「うで」であっても質が違う部分は重ねてスライスする事で均一にしたり、









 

 

お肉の並べ方1つ取っても印象が全く違ってきます。







 

 

ナイフのいれ方や角度でも表情や食感は変わってしまいます。








結局一番学んだ事は、先生が言ってたように「人の手」でした。長い歴史を背負った日本の牛さんが「人の手」でお肉になる。文章にすると当たり前のようなこれだけの事ですが、それが実感できた事が何よりの収穫だったと思います。牛さんは大きくて、ひとりじゃどうにも出来ない!泣き言のようですが、これって牛さんのすんごい魅力だと思います。そして、学校を終えた翌日に『酢飯屋ちゃんをいろんなシェフで一頭入魂』を行い自分の中で1つの答えが見えたような気がきました。
その話はまた次回に!




                      えみりんの旦那




























 

23:29 | comments(0) | trackbacks(0)
 

Comment









   
 

Trackback URL

http://blog.gunma-emeat.com/trackback/136